短編集




などと思い返していたら、暁君が心配そうに、

「ぼーっとしてるけど大丈夫か?」

と声をかけてきた。

無駄な心配をかけさせてしまった。

「大丈夫。」

この一言だけ言うと安心したみたいで、

「そうか」

そう言って外の景色をみた。

つられて私も外の景色を眺める。

北側には山に抱かれているような街が広がり、南側には光を反射させ、青く輝きを放つ広大な海を見おろせて、とにかくきれいだった。

「なかなかいいだろこういうのも」

「うん。」

観覧車ではこれ以上会話はなく、静かだったけど、どこか穏やかな雰囲気でゴンドラは回った。



ゴンドラから降りてすぐ、また私は暁君の手を握ってしまう。今日の一日で癖が付いてしまったのかもしれない。

学校ではしないようにしないとね。

「あ、そうだ学校の話なんだけど、6月に文化祭あるじゃん?あれの出し物を決めたいんだが何か候補あるか?」

急に行事の話されても何も浮かばない。去年は確か・・・?コスプレ喫茶だったかな?私は料理を作る係だったっけ。

「特にない。」

「だよなー。やっぱクラスでアンケートか?いや、そうするとマンネリ化してきたコスプレ喫茶になりそう