短編集


暁君に手を引かれ歩くこと五分。

ほかのアトラクションに比べてやや列が長いものに並ぶ。

待ち時間30分。

そう立て札に書いてあった。

「やっぱ始めはジェットコースターだろ!」

「何?それ。」

声を少し荒くしている暁君に聞いてみると、

「アレだよアレ!」

と指を指す。

その方向に顔を向けると、レールの上をものすごい速さで走る電車のようにつながった乗り物があった。

レールは急に高くなったり低くなったり、ねじれていたり、一回転していたりと、普通ではないことは確かだった。

何か少し不安になり、まだ繋がれていた暁君の手をきゅっと握る。

「ん?どうかしたか?」

と強く握られた手に何か感じたのか、聞いてくる。

「なんか不安。」

と本音を告げ、笑われるかと思ったが、

「大丈夫だよ。安全じゃなかったらここ乗れないからさ」

と優しく微笑みながら答えてくれて、さっき私がしたように手をきゅっと握り返してくる。

「うん。」

そう告げ、約30分間待った。