「 美優ちゃん・・ 」




葬儀中は一切泣かなかった。
心配そうな顔で大人や友達に
顔をのぞかれたけど
私は笑って返した。




写真の中で微笑むお父さんを
見つめるお母さんは
口を開けることなく
葬儀を終えた。




家に帰ってもお母さんは
力なく床に座り込んだまま
動くことをしなくて
代わりに私が家事をした。




病院を出たときから




いや、お父さんの顔を
見たあとから




お母さんは私を見ない。
本当に私を忘れたように
お父さんの写真だけを
愛しそうに見つめていた。