歩いて帰れない距離ではない。




けど、大きすぎる喪失感が
私を覆って足がもつれて
うまく歩けなかった。




──────────捨てられた。




頭を過ぎった言葉が
自分を酷く傷つけて
涙がとまらなかった。




春先の冷たい風の中
家に着くまでの1時間。
私は声を殺して泣き続けた。