───────いっそ、傷つけてくれたら。 殴ったり、蹴飛ばしたり ただの”物”として 扱ってくれたら 今すぐにでも、窓からでも 飛び出して逃げるのに。 傷の痛みに甘えて 大人しくここにいる必要なんか ないのに。 分かっていて私は 動こうとしないんだ。 自分の頭の悪さに絶望しながら 泣きそうになるのを堪えて 布団を深く被ると ドアが開く音がした。 「 ・・・アゲハ? 」 ドアを閉めて、男は私に近寄って そっと布団を捲る。 「 寝すぎだろ 」 目が合って、笑われた。