「 ツバサちゃんは偽名っしょ 」 むしろ、名乗ってもいないのに ”アゲハ”たら”ツバサ”たら 適当に名づけられている気がする。 勢いよく、何度か首を 縦に振ると彼はふっと笑って ”やっぱりなー”と私の前髪に触れた。 「 絶対に、これから接触する奴に 本名名乗るなよ? 」 「 なんで? 」 「 逃げ切れなくなるぞ 」 少しだけ間をおいて 彼は笑いながらそう言ったけど 冗談には聞こえなかった。 「 名前の由来、知りたくない? 」 重い空気を気遣ってか 一輝は口を開く。