口を堅く閉じた私に
不信感を抱いたのか
男は立ち上がって
ベッドに腰かける。
「 ね、一輝って言ってみて 」
外見から、言葉から
男の優しさが滴っているようで
つい声を出してしまいそうになる。
けど、口を開けたら
”助けて”しか言えない気がして
開けかけた口をもう一度閉じた。
「 言わないとチューするよ? 」
「 ・・・っ 」
タチの悪い男しかいないのか。
喋らないと唇を奪う意味が
よく分からなくて、
男から顔を逸らした。
「 一輝って呼んでよ 」
布団を胸元まで捲られて
顎を掴んで、男の方へ
向かされた。

