”攫われた”ことを 忘れてはいけない。 縛られていないのは 私が動けないことを 知っているから。 実際、一度殴られただけあって 私の警戒心は今まで以上だった。 「 1番 」 男に、視線を戻すと 「 俺の、もう1つの名前。 龍から聞いてない? 」 ”1番って聞こえたら 適当に返事してやって” そう言えば、あの人も そう言っていた。 この人の言う龍は 多分、あの人だ。 「 ツバサちゃんさ、声でないの? 」