倉庫裏の少し急な坂を
上りながら、遠ざかっていく
海を眺めていたら手を引っ張られて





「 おいてくぞ 」





”早く”と龍一に急かされた。
道路の真ん中を堂々と歩く一輝を
優斗さんが歩道の方に引っ張って
そんな二人を見ながら私たちは
手を繋いで笑っていた。






昼間の道路なのに
人通りが少なくて、車も
全く通らない。





時々フラフラと
道路の方へ行く一輝を
引っ張り戻しながら
優斗さんは私たちの前を歩いていた。






「 昨日さ、 」


「 うん? 」


「 一輝に会って、一発殴られて
  お前のこと全部聞かされた 」






視線を落とした龍一を
横目で見ていたら
龍一が片手で頬をさすって
”あれは効いた”と、
笑いを零した。