怖くて、声が出なくて 背中に感じる温もりに 寒気がした。 「 家出してきたんだろ? 」 グッと腕を握る手の力が 強くなって、 横目に見えたバックしてきた 黒い車のドアが開いて 「 乗れ 」 腕をパッと放されて 荷物を置いて足を前に出した。 ”逃げなきゃ” 全身がそれだけを私に 痛いほど伝えてきて 逃げようと前を向いた。 ───────ドスッ