「 そろそろ、聞いていいかな 」 ぎこちなく笑った一輝が 私と距離を詰めて、そっと 頬に手を添えた。 「 ツバサの本当の名前 」 ────────いつからか、ずっと そう聞かれるのを待ってた。 その反面、聞かれることを 恐れてた。 リカの話を聞いてからは より一層、警戒心が増して 微かな不安でさえ、 私の体を震わせるほどに。 それなのに、今は聞かれたことが 嬉しくてたまらない。 泣きそうになる私を引き寄せて 優しく抱きしめてくれるこの人が 愛しくて仕方ない。