「 ………リカ? 」
手を離して
前髪をかきあげた一輝は
「 誰それ? 」
動揺を隠しきれないのか
目が泳いでいて
バレバレの嘘だった。
「 一輝…! 」
私から目を逸らして
逃げる一輝の腕を
引っ張ると一輝は簡単に
向き直った。
「 なぁ、ツバサ 」
返事をしない代わりに
一輝をじっと見つめて
いたら、悲しそうに
笑った一輝が顔をあげて
「 知らない方が幸せなんだよ 」
今にも、泣きそうな顔で
そう言われたけど
引き下がれなくて
腕を掴んだ手に力を
入れた。
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