鉄の味がするキスにも 荒々しい痛いだけの この行為にも、 もう慣れた。 だけど、“リカ” にだけは慣れなくて 彼がその名前を呼ぶ度に 閉じていた目を開けて “彼”を確認した。 自分を抱いている人が 違う人のように感じて 不快感にさらされる。 「 アゲハ? 」 情事後に、私は何度か 涙を流した。 私を抱き締める腕は 温かくて優しい。 “逃げられない” たった一週間で 私の思考が一転した。