「そのときに逆チョコ、しなよ♪」


にいっと悪戯っぽい笑顔で口元に人差し指を当て、平坂はさらりと名案を言った。

そ、そうか、そうすれば改めて呼び出す必要もなくなる…!

緊張するのは1回で済むわけだな!


「ナナナナイス、平坂!」

「これくらいフツーに考え付くと思うけどねー」

「う、うるせぇな!んじゃさっそく…!」


そういえば白波は学食だった。

出鼻を挫かれた想いで教室を見渡すと、ちょうど白波が教室に戻ってきた。

今日初めて、タイミングが良い出来事だ。

平坂にそっと背中を押され、俺はばくばくと心臓を高鳴らせながら白波に近付く。

左手には白波からのチョコを、右手には俺からの逆チョコを。

じわりと手汗が滲む。

これまたタイミングの良いことに、白波はひとりだった。


…い、今しかないっ!