声に呼ばれるように左を向くと、ピンク色の包みを俺に差し出していた。

手作りらしい、半透明の袋の中には焼き菓子のようなものが見える。

ブラウニーかマフィンだろうか。

姉貴が毎年色々作る所為で俺も少しくらいは名前が解るようになっていた。

……でも、…は?


「………い、いや、男同士の友チョコとか俺さすがに興味な…」

「あははー違うよ、おれからじゃなくて、ね」

「は?じゃあ一体…」


うろたえる俺を見て、平坂は面白いものを見つけたような顔で笑った。

そりゃもう、にーんまりと。

…平坂がこんなに楽しそうに笑うって、相手は一体誰だ…?

全然想像がつかねぇんだけど…。

何も言わない俺を見兼ねてか、笑みを絶やさないまま平坂が口を開いた。


「それはねー」


そして本日2回目の、平坂による爆弾投下が行われた。