「王子、…どうかされました?」



咲音の出ていった方向を見続ける春人にアイリスは声をかける。



「別に」

「そうですの?私はきちんと契約を守って下されば文句はありませんけれど」

「…で、何だ?」

「実は―…」

―…


部屋を出ると、千亜が窓際で男子と話をしていた。

やだ、青春じゃない、と思った私は邪魔をすべく千亜に話しかける。



「千ー亜っ」

「咲ちゃん」


男子は軽く私に会釈した。クラスが違うためだれか見当のつかなかった私は千亜に聞いた。


「千亜、誰ー?」

「隣のクラスの笹木健一くん。幼なじみなの」

「私、和泉咲音。よろしくね、笹木」

私が言うと、笹木は思い出したように言った。



「あぁ、今日和泉に呼ばれた女子ってお前?」

「なんで知ってんのよ」

「そりゃ、女子の話題がそれで持ちきりだったからなぁ」




女子の情報網恐るべし。