何もないまっさらな世界だった。白い、病院のような不浄感の一切ない場所に私はいた。というか放り出されていた、と言った方があっているような気がする。私はなぜか裸で、白い布にくるまれていただけだったから。


「ここは?どこ?」


辺りを見回しても、白、白、白、それだけが目にはいる。
ぴちょん、ぴちょん、と水音がし出す。

「いらっしゃいな、…咲音」


名前を呼ばれ、振り向くと、金髪、碧眼の美人がゆったりと微笑んでいた。
初めてあったはずなのに、彼女が誰だか、すぐにわかった。前見たあの夢に出てきた、人。
そして、

「あなたが、サリサ?」

私が聞くと、ふわりとまた微笑んだ。私に絡めるようにサリサは手を握った。

「正解。…初めまして、かしらね?」
「なんの、用なの?…どうしてあなたがいるの?」

「あなたは、この世界であたしに最も近いから…だから、この場所に来るのはとても簡単なの。」

「…ここは」



わかるでしょう?と私が聞くと、サリサは人差し指を唇にあて言った。

「あなたの精神世界、現実のあなたは寝ているから、夢の中とも言えるわね」


このまっさらな世界が私の心の中。

「まだなんにもないけれど直にこの世界は色々なもので溢れ出すわ、歳を取るとはそういうこと。」

「あなたもそうなの?」


さあ?悲しそうにサリサは笑った。
次の瞬間、私にサリサは抱きつく。甘い花のような香りがする。