本と私と魔法使い

ー…


学園に着く頃には完全な暗闇になっていた。図書館の重たい扉を押して開くと、気味の悪いギィーっという音がした。

「…っ!!」


私でもわかるくらいどんよりとした禍々しい気配が流れ込む。和泉も眉をひそめた。

「どうしたの、これ…」

「わかんねぇ。…誰かに連絡とっとくか。色々事情わかってるやつが良いよな?」


そう言って少し慌て気味にケータイで連絡をとった。

何が起きているんだろう?
底知れぬ怖さが私たちを襲う。

「ッ!!」


ズキッと刺すような鋭い頭痛がした。嫌な予感ばかりがちらりと頭をかすめた。

「ァァアァー…ッ!!」

まるで、咆哮のような叫び声が奥の本棚から聞こえた。びりびりと空気が震えた。

「和泉…」

「行ってくる、咲は隠れてて…」


和泉は刀を取り出し、私の返事を聞かずにその方向へ一気に走り出してしまった。

その場所からちらりと見えたのは、


「千亜…!!」

ー…