「当たり前だろう…がっ、てか、いるなら助けろよ…ッ」

「すみませんけど、私じゃ太刀打ち出来ませんでしたもの。…多季なんて」


知り合いなのか?
俺の疑問に気付いたのか、
「昔の、…幸せだったときの、大切な…」

人でした―…


あとの声は小さくて聞き取りづらかった。アイリスは肩を抱き小さく震えていた。


「サリサが消え、多季が消え…もう、死んでしまったと思ってましたから…」



咲音と羽津のいるところへ運びますね、と俺の制服の襟を掴み文字通り引きずった。


………。

他に運び方ねぇのかよ!?
怪我人!!
と叫びそうになったがそんな事を言うと放置されかねないので持ち前の精神力で黙っていた。



―…