本と私と魔法使い

「私は、逃げてばっかりだよ?いつも…今も」

「逃げなきゃいいじゃん、簡単だよ」

上を向いてさらっと言う彼。それが難しいんだけど、と思っていると、



「難しいと思ってても進むために必要だったら、それは案外簡単なことなんだよ。一番難しいのはわけもわからず進む時だから」


私がぽかんと、羽津を見ていると、うん、まぁ、多分、と歯切れが悪くなりながら恥ずかしそうに言った。

「でも、委員長は和泉さんのこと大事にしてそうだよね」

「えっ、なんで…」

「態度が違う。…あと、ここで待たせた。」


それがなんだっていうんだろう?