本と私と魔法使い

「ふぅん…。」

赤くなった顔は多分見られてるんだろう。羽津は意味深な顔をして笑った。

「そ、ういえばさ、刀とか羽津も出せるわけ?」


話題を変えるべく、苦し紛れに聞いた。和泉も、千亜もいきなり出してたんだよねぇ…。私がそういうと、あー、と羽津が空を掴む様な動作をして言った。


「解放」

すると、パンッと光の粒が舞って、刀が現れる。和泉と千亜が持っていたものと同じ細身の刀だった。



「契約した時に魔力と魔制の刀をもらったんだよね、おれら。…で、刀なんかは持ち歩けないから、普段は空気中に分解してて、"解放"っていうと生成されるらしい…。」


刀くるくる回す羽津の腕にはブレスレットが揺れていた。私の持っているものよりシンプルで無骨なデザインで、乳白色の石がぶら下がっていた。