本と私と魔法使い

ひんやりとした空気。奥の部屋は前と同じようにきらきらしていた。私たちは椅子に腰掛けた。


「弁当まだ?」

「まだだけど、持ってきた…和泉ってここで毎回食べてるの?」

弁当を出しながら私が聞くと、まぁ、ちょくちょくなと笑った。
ガラスが不自然に割れたことと千亜のことを言うと、和泉は難しそうな顔をして唸った。


「どういうことだろうな?秦野さんが何かに巻き込まれてるような気がするけど、…正直に答えてくれそうにねぇよな…」


だよねぇ…、私は箸で弁当の卵焼きを掴んだ。

「教えてくれて、ありがとな」

私の頭をわしゃわしゃ乱暴に撫でる。きゅぅっ胸がしまるようなきがした。
一瞬、時間が止まって、慌てて私はどういたしまして、と付け足した。


…顔、あげられないじゃない。

私はどうしようもなくなって、心の中に文句を閉じ込めた。


ー…