何度忘れようとしても

「すみません」

しゃがんでいる私の背中に、男性客が声をかけた。
男性用の指名買いかなと思い、「はい」と言って立ち上がり私は振り向いた。

「いらっしゃいませ」

スーツを着た背の高いスラッとしたその人は、佐伯くんだった。
そして彼は、はにかむ様な笑顔になると、私に言った。

「井川さん、迎えにきたよ」


                      ☆☆La Fin☆☆