彼の顔色は青白く、それが月明かりに照らされたからなのか
それとも体調が悪いからなのかは、わからないがそんな彼の顔色が悠輝の不安を大きくした。

「僕は…僕を必要としてくれる人のためだったら、死んでも良いって…そう、思ってた」

瞳を閉じたまま、沖田は静かに口を開いた。
秋の虫が泣く声に負けてしまいそうな…彼には珍しい弱々しい声。
そんな彼の声を聞き逃さないよう、悠輝は瞳を閉じて耳を澄ます。

「でも、近藤さんや、土方さん…新撰組の皆と出会って…
必要とされるようになって…僕は。
皆と一緒に生きたいと思うようになってしまったんだ」

彼の発した言葉は先刻呟いた句の意味と同じようなものだった。

「利用されててもいい。僕は、生きて…近藤さんの役に立ちたい
初めて、僕を必要してくれた人だから…」

歯切れの悪い…震えた声で呟いた言葉
それは、沖田の切なる願いだった。

「沖田さん…」
「なんて、ちょっとくさいこと言っちゃったかな」

ゆっくりと瞳を開けて彼を見つめる。
すると、彼は月から悠輝へと視線を移し
苦く笑って見せた。

…そんな顔、しないでください……

とは、言えなかった。

無理に作った笑顔が月明かりに照らされて
やけに美しく見える。
そんな沖田の姿に悠輝は見とれた

「でもさ、やっぱり好きなんだよ
……この句が」
「……っ///」

自分のことが好きといわれたわけではないのに
そのたった一言で自分の体温が上がるのがわかった。