心の中でそんな悪態をつきながら
一度深いため息をついてから

「土方さん。悠輝です」
「なんだ?」
「お茶を煎れて来ました」
「あぁ、入ってくれ」

襖越しにそう話してから
お茶を一度床において
両手で襖を開け、中へと入った。

見えたのは
紙に筆をはしらせる土方の姿
そんな彼の姿を見て、悠輝は再び深いため息をついた。

「少しは、休んでくださいよ…」
「別に問題ねぇよ」
「………」

まったく
この人もこの人で頑固なんだから…

「お茶、ここにおいておきますね」
「あぁ」

振り返らないまま
土方は短くそう言い放った。

「あと、私も後で手伝います。
まぁ、できる範囲でですが」
「必要ねぇ」
「いいえ。手伝います。
――…話したい事も、ありますし…」

少し歯切れの悪い声で悠輝は言葉を発した。
振り返った土方に微笑み
悠輝は立ち上がった。

「沖田さんに、お茶を届けたら戻ってきます」

そういってから
悠輝は入ってきたときと同じようにしてその場を後にした。