「そっか…一君
君は、伝えられたんだ」

悠輝が居なくなった後
沖田は誰もいない空間へと
言葉を紡いだ。

小さい咳をいくつか繰り返し
空を見上げる

「僕は…いつまで生きられるのかな
こんな体で、一体…いつまで、彼女の傍にいれるんだろう」

嘆きにも似た言葉は
風にさらわれて


誰の耳にも聞こえなかった



庭の隅で一匹の黒猫が
彼を見守るようにして座っていた