丑三つ時
俺と雷希は、夜の街へと足を進めていた。
夜の街は、きらびやかなイルミネーションを見る、恋人達で賑わっていた。
(そういえばもうすぐ、クリスマスか………)
クリスマスカラーに彩られた街を眺めながら、思った。
「おぉ!!やっぱ東京のイルミネーションはすごいなっ!!なあ、一輝(カズキ)!!」
「ああ」
……何百年も生きてる奴が何いってんだか……
俺が心の中で、こんなことを呟いているとは、露知らず、雷希はイルミネーションを見上げていた。
「んな事より、行くとこあるから。早く歩け。」
そう言い、イルミネーションを見ている雷希を置いて歩いた。
「行くって、どこにだよ」
すこし駆け足で、俺の隣に雷希が来た。
「街に来るまでに聞き込みをしたが、何の情報もなかっただろ。」
「そうだけど、だから街に来たんだろ?」
「そうだ。だが、俺が行きたいのはこの街じゃない。ここだけど、ここじゃないもうひとつの街だ」
ここまで言ったら、雷希もわかったようだ。急に黙りこんだ。
そして思い出したように、顔を俺に向けた。
「でも、そこにいくための扉がないんだろ?」

