じわじわと溢れだす涙を堪えるようにギュッと目を瞑った僕は、結局外すことの出来ない指輪ごと薬指を握りしめた。
「本当に好きだった…ううん、愛してた。…なのに…」
「うん」
「愛してるなんて、……愛してるなんて、もう要らない!こんな気持ち、もうたくさん…だっ…っぐ…」
「………」
絞り出すように出した声と同時にポロリと零れ落ちた涙。それを隠すようにスーツの袖に顔を埋めると、鼻を掠めるのはクローゼットに置かれたままになってた彼女の香水の香り。スーツに香りがつくのは嫌だったが、たまに掠める香りに彼女を感じられたのは事実で、僕はグズグスと泣きながら大きく息を吸い込んだ。そして切りに行く暇もなく、だらしなく伸びた長めの前髪を左手でクシャリと鷲掴んだ、瞬間、
「そんなの外しちゃいなよ、セーンセ?」
「へ?…っわ!」
突然、後ろから伸びてきた手に左手を捕まれた僕は、大きく目を見開きながらバッと上半身を起き上がらせた。
「本当に好きだった…ううん、愛してた。…なのに…」
「うん」
「愛してるなんて、……愛してるなんて、もう要らない!こんな気持ち、もうたくさん…だっ…っぐ…」
「………」
絞り出すように出した声と同時にポロリと零れ落ちた涙。それを隠すようにスーツの袖に顔を埋めると、鼻を掠めるのはクローゼットに置かれたままになってた彼女の香水の香り。スーツに香りがつくのは嫌だったが、たまに掠める香りに彼女を感じられたのは事実で、僕はグズグスと泣きながら大きく息を吸い込んだ。そして切りに行く暇もなく、だらしなく伸びた長めの前髪を左手でクシャリと鷲掴んだ、瞬間、
「そんなの外しちゃいなよ、セーンセ?」
「へ?…っわ!」
突然、後ろから伸びてきた手に左手を捕まれた僕は、大きく目を見開きながらバッと上半身を起き上がらせた。

