愛してる?...たぶん。

「ねぇ、先生?」



「はい」



「咲緒のこと、好き?」



「……はい」



「そっ、か」



カウンターに肘をついたまま空になったグラスを手にとった朔夜さんは、カラカラと氷を回しながら頷く僕を横目にフッと小さく笑みを浮かべた。



「先生…」



「はい」



「鍵、開いてるから。咲緒、自分の部屋にいると思うから」



「はい」



「早く行ってあげて。咲緒のこと、幸せにしてやって?」



「はい」



そして立ち上がり、座ったまま手を振る朔夜さんにペコリと頭を下げた僕は、二階へと続くドアに手を掛けた。



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