瞬間、口に広がるさっぱりとした香り。甘すぎず、意外にも飲みやすいそれは、全速力で走って喉が渇いていた僕にはちょうどいい。グイッと一気に飲み干した僕は、相変わらずニコニコする朔夜さんを見ながらグラスをカウンターに置いた。



「で、先生は何しに来たの?」



「それ、は…」



あれ?僕は何をしにここに来たんだっけ?確か…



「咲緒を振りに?」



「へ?振、る?…いやいや!」



「へぇ…」



一瞬、キョトンとしてしまったが、カウンター越しに座る朔夜さんの言葉に瞬時に否定したことで、僕がここに来た目的がハッキリした。



「僕、は…」



「うん」



「彼女に……」



「うん」



「……告白、しに来ました」



朔夜さんの目を見ながらなんとか言い切った僕は、カウンターに放置していたメモ用紙を手に取ると、またギュッと握りしめた。