愛してる?...たぶん。

「もう!そんな悲しそうな顔しなくても、大丈夫だよ、センセ」



「でも…」



「でも、って、それじゃあたし、可哀想な子みたいじゃん!」



「あっ、ゴメン…」



でも表情を曇らす僕とは逆に、彼女はスッキリとした、なんとも晴れ晴れとした笑顔を浮かべてて。



「もう、謝らないで!確かにね、あの時はすごくツラかったけど、それでもセンセの傍にいれたことは幸せだったし、なによりね、恋してることが幸せだったの。だって初めての恋だもん。気持ちも涙もなにもかも全部、センセが教えてくれたんだよ?宝物みたいなこの気持ちを」



「たから、もの?」



「そう。ドキドキも切なさも、ぜんぶぜーんぶセンセがくれた宝物」



「でも、」



「じゃあセンセは後悔ばっかり?奥さんと結婚したこと」



「それ、は…」



「だよね。後悔もちろんあると思うけど、幸せだった日々は確かにあったでしょ?センセの心の中に、今でもいっぱいいっぱいあるでしょ?」



「それ、は…」



「じゃ、あたしとのことは?」



「え?」



「キスして、あたしの部屋入って、エッチしようとしたけど、センセ、ダメダメだった…」



「ちょっ!?だぁぁぁぁー!!」



「あははっ!ほら、それも全部思い出。大切な宝物だよ」



「そう、かな?」



「そーだよ!」



そんな彼女につられるように笑みを浮かべた僕は、宝物、か…と呟いた。