愛してる?...たぶん。

可愛い、って…。



可愛い、って…。



彼女も和久井も、僕のことを一体なんだと思ってるんだ。



オッサンなんて言われてもおかしくない、いい年した男に可愛いなんて……軽くトラウマになりそうだ。



「もえ先生!ほら、早く!早く!俺、準備万端なんですけどー」



「………」



無言でキッと目を吊り上げるも、肝心の睨みが涙目では迫力も皆無。



現に目の前の和久井はケラケラ笑ってる。



「いやいや、もえ先生?俺だって、今から恥ずかしいの我慢して、これでもかってほどノロケなきゃなんないんだよ?」



「へ?」



「だって、もえ先生の訊きたいことって、そーいうことでしょ?」



「あっ…」



でも和久井の一言に、確かに…と思ってしまう僕がいる。



そうだ。僕は、今から和久井にそういうことを訊こうとしてたんだ。



恥ずかしい……うん。確かに、彼女の好きな所を改めて人に言うなんて恥ずかしすぎる。



僕でさえ一度きり。



結婚式の三次会という、人生で最も頭が沸いていた時に一度だけ、恵梨の好きな所を言った…いや、無理矢理吐かされた、気がする。