愛してる?...たぶん。

「神谷!テメッ、くっだらねーこと言ってじゃねーよっ!!試合の邪魔なんだよっ!」



「あっ…」



恐る恐る目を開ければ、ボール片手に顔を真っ赤に上気させている浅野。



「でっけぇ声でやらしーこと言ってんじゃねーよ!!んな話すんなら他所でやれ!!ってか、テメェ、無駄にオープンすぎんだよっ!!」



顔が赤いのは怒りからなのか、羞恥からなのか、いや、間違いなく両方なのだろうが、コートを駆け廻り、鮮やかなプレーを繰り広げる、いつもの凛々しい彼は何処にもいない。



「ってか、もえ先生困ってんだろ!暇ならボールでも磨け!!」



「ギャッ!!ちょっ、浅野!」



「うっせぇ!!これ以上、口開いたみろ!その沸いた脳ミソ、機能停止させてやる!!」



「ギァァァーー!!」



ピュアだ。



彼はなんてピュアなんだ。



コートに転がっていたボールはもちろんのこと、ボールカゴの中のボールまでその抜群のコントロールを駆使し全力で投げ始めた浅野を、ただボーゼンと見つめながらそんなことを思ったが、そろそろ止めないとステージが大変なことになる。



現に、既にステージの上はボールだらけ。



逃げる神谷のせいで、いたるところにボールが当たり、ぶっちゃけ、幕の中は見たくない。