愛してる?...たぶん。

「あの、浅野?」



立ち上がり、とりあえず一歩近づいた僕は、怒りオーラを全身に纏う浅野をこれ以上刺激しないようなるべく優しく声をかけると、ヒクつく口元でなんとか笑顔を作った。



「えっと、」



「…もえ先生」



「ヒィッ!」



瞬間、浅野の低く地を這うような声にビクッと肩が震える。



「あの、えっと…和久、井…」



救いを求めるようにチラリと和久井を見れば、腰に手をあて大きな溜め息をつきながら、 諦めろとばかりに首を振ってる。



「………もえ先生」



「はいぃぃぃ!」



声を裏返し、ビシッと背筋を正した僕は、鋭い視線を向けてくる浅野の目を見ながらゴクリと唾を飲み込んだ。



来る。



きっと来る。



あの右手に握られたボールが僕めがけて飛んで来る。



とりあえずメガネを外す、か?



………いや、もう諦めよう。さよなら、相棒。