銀髪娘「え?」
銀髪娘は、表情は変えないものの訳わからなそうにしていた。
釛「初めて神門と会った時に、そういう話をしたの。あなた、嘘をついてるわね」
釛の低く、突き刺すような声が辺りを包む。
僕は一刻も早くここから立ち去ろうとした。
ズザッ
神門「あ」
僕の脚は石に引っ掛かり、おっとっと・・・としながら転んだ。
釛が振り返る・・・。
釛「神門ー。みぃーつけた」
にたぁーと笑う釛の口は不気味で不気味で。
釛「でも神門を匿ったってことは、そこの小娘も“私”の正体を知ってるってことよね。だったら・・・」
釛は俯いた。その表情は暗く、企んだような笑顔。まさに奇怪なモノだった。
絡新婦「二人とも殺していいわよねェ?」
顔を上げた、その顔は絡新婦だった。さきほどより、威圧感が増し、殺戮することに楽しみを持った顔だった。
絡新婦「まずは小娘から殺すかぁ・・・!この小娘を殺した後に神門を殺すぅぅぅ・・・。そして生き血を堪能する!!シネェェェ!!!!」
絡新婦は銀髪娘に襲い掛かった。牙で首を食いちぎろうとしているようだ。
銀髪娘の首元まで絡新婦の顔が近づく。
もう少しで噛まれる・・・寸前で銀髪娘は屈み、攻撃をかわした。絡新婦は勢いあまり、ズザア、とスライディンするような形で己の体の勢いを止めた。足からは土煙が濛々と上がった。
銀髪娘は屈んだ姿勢からすごいスピードで僕に駆け寄った。
銀髪娘「私に掴まれ」
銀髪娘に言われるがまま僕は銀髪娘の着物を握る。
銀髪娘「行くぞ!」
そう叫ぶと銀髪娘は蔵の屋根へとジャンプした。


