大江戸妖怪物語


僕は黒龍の突進を避けたものの、尾の部分に当たったのか、左半身に強烈な痛みを覚えた。そして攻撃の当たったところがジリジリと痛み出す。どうやら尾の部分に、鋭利な棘がついているらしく、それが左肩に刺さったらしい。着物は少しずつ紅く染まって行く。

芳吉「さっすが兄者ぁ!あの龍、超かっこいいですぜ!!」

助吉「今こそ、あん野郎を滅多打ちにしてやりましょうよ!」

雀陽の子分二人が嬉しそうにこっちの様子を見る。

黄梅「神門さん!大丈夫ッスか!?」

黄梅が慌てて僕に駆け寄る。それを見て、黒龍は上空で体の向きを変え、黄梅に向かって飛んできた。

黄梅「って、ええええええええ!?!?」

黒龍は黄梅の首もとを手でつかみ、黄梅の体は遥か上空へと一気に上がって行った。

黄梅「離せコラ!!」

黄梅は暴れたのだが、全く持って龍は平然と空を上がり、そして急降下した。

黄梅「嫌ァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

黄梅の叫び声が遠く響く。龍は地面スレスレを滑空した。

神門「黄梅!!」

僕は龍の尾を掴むことができた。しかし、尾を掴めたものの、僕は引きずられ、足に痛みを覚えた。さらに僕の手首には棘が食い込み、激しい痛みが走る。

雪華「危ない!!!」

雪華は龍の左側面の体に刀を突き刺した。

黒龍「ギャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

その瞬間黒龍は体を捩らせながら、爆弾のような叫び声を上げた。鼓膜がやられそうだ。

雪華が突き刺した黒龍の体からは鮮血が滴り落ちる。そしてそのまま落ちるように龍は地面へと向かった。しかし、龍があまりに体をしならせるため、僕の手は尾を離してしまった。

神門「うわああああああ!!!」

神門(落ちる・・・・!!!)

雪華「この馬鹿!」

雪華は龍の体から刀を抜くと、僕めがけて落下してきた。そして、刀が抜かれたと同時に龍の切り傷の部分からは血が噴き出た。

雪華「出でよ!氷柱」

雪華は手から巨大が氷の柱を出し、地面目がけて投げた。そして僕の手を取ると、氷刀を氷柱に突き刺した。

神門「は・・・はあ・・・助かった」

雪華「まったく・・・」

僕が一息ついていると、龍がこちらに向かって突進してきた。龍は氷柱に当たり、氷柱は崩壊した。

雪華「なッ・・・」

神門「え・・・!」

僕と雪華は二人地面へ向かって真っすぐ落下していった。