雪華「神門!!」
雪華が僕に駆け寄る。
神門「だ、大丈夫・・・!雪華、後ろ!!」
僕は慌てて雪華を横に押した。僕も雪華と共に右に転がる。先ほどまで僕がいたところが黒く焦げている。
雪華「いったい・・・なんなんだ・・・」
神門「まさか・・・なんだけどさ。あの龍も操られてるとか?」
雀陽「おやおや。まさにその通りですよ・・・。ですが、この化け物を調教するのは、少々骨を折りましてな・・・。飯綱の刃だけでは力が足りず、操ることができなかったが・・・」
雀陽は紅玉を天に翳した。太陽の光が紅玉に反射して辺りを照らす。
雀陽「紅玉を手に入れたことで私の力が絶対的なものとなったのだ!うひひひ!もう、安心するがよい!見ろ、周りの景色を!!!」
僕らは辺りを見回す。僕は目を見開いた。すべて水墨画で描かれたように色彩を失っていた。まるで、僕がふとした瞬間に脳裏に過る、あの世界のように・・・。
雀陽「・・・まだ、この付近しか壊せないか・・・うむ。まあ仕方ない」
雀陽は淡々としゃべりながら、髭を弄った。その表情にはどこか余裕さえ感じられた。
神門「雀陽!!お前・・・何をした!!!」
雀陽「クク・・・!今日中にはこの町は滅びる!すべてを破壊し、作り上げる第一歩となるのだ!!!!!」
雪華「まさか・・・季節の異変はこの龍が原因なのでは・・・・!?!?」
雀陽「さっすが美人なお嬢さ~ん♥よぉくわかってらっしゃる」
雪華「キモい、うざい、くたばれ」
雀陽「その通り!この龍は」
雀陽は二ヒヒと歯をむき出しにして笑う。
雀陽「そぉ~う!この龍は、この村の均衡を保つ存在であるんだ~。んまぁ、均衡を保つ龍がこんなに狂っちゃったら、そんりゃあ季節もぶれるよねぇ~」
雪華「おのれッ・・・クズが!!」
雀陽「何か言いましたか~??聞こえませんね~」
雪華「あいつ腹立つ今すぐ腸えぐり出してやりたい」
雪華は怒りの表情を露わにしながら、超ブラックオーラを出していた。怖い。超怖い。
雀陽「その男を殺してしまいなさい!というか、食べてもいいぞ!」
その雀陽の声と同時に、黒龍は空を劈くような声を上げ、真っ直ぐ僕に向かって突進してきた。


