僕の脹脛あたりを艶めかしく葉っぱが撫でる。その感触の気持ち悪さに顔を歪めた。
能上「神門くん!私に掴まれ!」
能上さんは僕に手を差し伸べた。流される寸前で能上さんの手に掴まることができ、流される事態は免れた。
そしてそのまま川岸にたどり着き、僕は腰を下ろした。
神門「はあ・・・能上さん、ありがとうございます・・・」
能上「休息を取っている暇はないぞ、木南さんとおじいちゃんを助けたいんだろう?もう追手がすぐそこまで来ている」
(あれ?能上さんに木南と黄梅のおじいちゃんの話ってしたっけ?)
能上さんの話を聞き、川のほうを振り向くと、ウジャウジャと人間が僕らを追ってきていた。
神門「もしかして、この川を上流のほうに進んでいけば、滝があるんじゃないですか?!」
すると能上さんは驚いた顔をした。
能上「確かに・・・この川を辿っていけば、つくかも知れないな・・・」
神門「行きましょう!絶対に近道です!!」
僕と能上さんは川沿いを走り出した。
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黄梅「おんりゃあああああ!!!!」
黄梅の人蹴りで、何人かが宙に吹っ飛んだ。
雪華「邪魔ね」
雪華は氷の壁を作り、後ろからの追手を防いでいた。
二人はまだ、民衆の群れの中にいた。なかなか抜け出せるチャンスがない。見事に囲まれてしまっている。
黄梅「こ、これが万事休す!的な・・・?!」
雪華「いや、絶体絶命のほうが正しいと思うが」
黄梅「あわわわ、マジどうなっちゃう系?!?!食べないでー!アタシ激マズだからぁーん!!」
黄梅は慌てたのか、隠し持っていたと思われる梅干しの壺を持ち、その中に入っている汁をぶちまけた。
どうやらすべて食べ終わった後らしく、梅干しは入っていなかった。赤色をした汁が民衆の顔面にかかった。
村人「う・・・ぎゃあああああああああああああ」
村人「酸っぱい・・・・酸っぱい・・・・・・・・・」
どんどん村人が倒れていく。黄梅は目を丸くした。
雪華「今のうちだ。走れ!!」
雪華と黄梅は隙をついて走り出した。
雪華「それにしても、そんな武器があったとはな・・・」
黄梅「ま、まあね!さっ、さっすがアタシー!マジやばーい!」
そして隠れられそうな茂みを発見し、そこに身を隠した。


