しかし・・・ここからどうやって出ろと・・・。袋の鼠の状態である。
僕が身をかがめて外の様子を伺っていると、何を思ったか黄梅が立ち上がった。
黄梅「もうこうなったら、正面突破しかなくね・・・」
神門「え?何言って・・・」
僕が頭の中でその言葉の意味を解釈し、理解するのと黄梅が行動を起こすのとでは若干僕の知能が劣った。
黄梅は勢いよく、扉をバァンと開けると、腰に手をあて大声で叫んだ。
黄梅「おらぁッ!アタシらはここだっつーの!!かかってこいやぁぁぁ!!!!!」
神門「ちょっと何やってるわけーーー?!?!?!」
僕は顎が外れそうなほど驚いた。洗脳された村人が一斉にバッとこちらを向く。そして僕らを確認すると集団となってこちらに襲いかかってきた。
雪華「・・・さて行くか」
神門「なんでそんなに落ち着いてんの?!」
能上「結果オーライということで」
神門「能上さんも落ち着きすぎ!!」
僕らは神社の境内を飛び出し、下り道を駆け下りて行った。
能上「この下り道を下りきると、恐らく人がたくさんいる。その前に二手に分かれよう」
雪華「そうね。じゃあ、私たちは少し遠回りして行くわ。黄梅、体力は大丈夫か?」
黄梅「バリバリオッケーって感じぃ?」
雪華「よし、では」
雪華は前方から来た民衆の頭をクルリと飛び越える。
その際雪華の足を掴もうとした人間の手を雪華は蹴り飛ばす。
雪華「その立て看板のもとで会おうか」
神門「了解!」
僕は右手で敬礼のポーズを取りながら、雪華とは別の方向へと進んだ。僕は群がる人々の間を縫うように移動した。
能上さんも僕に続き走る。
神門「能上さん、意外と体力あるんですね・・・」
能上「まだまだ若い者には負けないよ」
僕と能上さんは追手から逃れるために壁に体を隠した。
神門「それにしても・・・、洗脳された人・・・多すぎ。こんなにいたんじゃ手におえないよ」
僕と能上さんは人の声が遠ざかるまで息を潜める。
神門「ここからどれぐらいですか?滝までの距離って・・・」
能上「ざっと換算して・・・何分かな・・・」
しかし、能上さんが話している途中、洗脳された人々に見つかり慌ててその場を立ち去る。
神門「川がある!」
無我夢中で駆けた先には、幅の狭い川があった。
能上「行くしかない!」
僕と能上さんは一目散に川に飛び込んだ。しかし、予想以上に川の流れが速く、僕は少しもたついた。足を川底につけようともがくほど、川底の石が抉れて靴の中に砂が入る。
神門「おっと・・・」


