「出口が見えた!」
「神門、もう後ろから来ている!急げ!!」
僕は光の先に手を伸ばす。土がぽろぽろと崩れ、僕らは外に出た。
そこは別の神社の背が見えた。
先ほどの躑躅の群生地が遠くに見える。
「ここは・・・この地に古くからある神社っすね」
すると神社の中から神主のような中年の男性が出てきた。
僕らは警戒し、距離を取る。
「ああ、警戒しなくて大丈夫。私はまだ洗脳されていない」
神主は手を上げて、警戒しないように求めた。
恐る恐る首筋を見ると、傷はついていないようだった。
「とにかく、神社の中に入ってくれ。話はそれから聞こう」
僕らは神社に入る。そして扉に布をかけ、鍵を閉めた。
「よかった。まだ洗脳されていない人がいたのだな」
神主はほっとしたように笑った。
「君たちは見たところ・・・穴の中を通ってここに来たのかな」
僕たちの泥だらけの体を見て、神主は言った。
「す、すみません。こんな泥だらけの恰好でこんな神聖なところに入ってしまって・・・」
「大丈夫さ。今回ばかりは、神も許してくれるよ」
神主は微笑んだ。
「あの穴は、昔落ち武者が掘った穴なんだ。随分な距離を来たんだね」
神主は立ち上がると、外の様子を伺った。
「ウロチョロしてるな・・・」
どうやらあとをおってきた村人が外を徘徊しているらしい。
「昨日、私は村の中心部に行ったら謎の三人組が刃を持って人々の首に傷をつけまわっていたんだ。傷をつけられた途端、人々の様子が一変したからね。洗脳以外に考えられなかった。慌てて逃げたから私は無事だったが・・・」


