「甘野雀陽・・・いったい何者だ?」
雪華はずっと悩んだままだった。村には下りれないため、山から村を一望しながら思考回路を巡らせ、対策を練った。しかし、雀陽が何者かわからない以上、推理は息詰まる。
「このままではあちらこちらから『雀陽さまー』の声が聞こえてくるぞ。うぅ・・・気持ち悪い・・・」
雪華は悪寒がしたのか、体を震わせた。余程、雀陽が苦手なのだろう。
「うぎゃあぁッ!来んな!マジで来んなつーの!!」
山の下のほうから、大声が聞こえてきた。そして、勢いよく茂みから飛び出してきたのは黄梅だった。
「うぎゃあああ!!!神門さん、雪華さん!マジどうなってる系なのコレー?!」
黄梅の後ろから、たくさんの人間が武器を持って黄梅を殺そうとしていた。
「おい、お前・・・そいつらの前で雀陽のことを何か喋ったのか?!」
雪華が聞くと黄梅は半泣きになりながら頷いた。
「喋ったっつーか独り言!雀陽マジウゼーとかキモいわーとか言ってたら、いきなり襲われてー!!!全然意味わかんないんだけどー!!!!」
襲われる理由が・・・あり過ぎだな・・・。
「とにかく、その人たちに何を言ってもダメだ!洗脳されてる!!」
「せ、洗脳?!マジ?!」
「その人たちは洗脳されてるだけだ!だから、あまり攻撃できない!!とにかく距離を置こう!!」
僕と雪華と黄梅は、三人でより山の奥へと向かった。息を切らしながら進むと、躑躅が咲き乱れる場所に出た。そこに、小さい神社のようなものがあり、僕らは入った。長い間掃除をされていないせいか、ほこりが目につく。
「おい、梅・・・薬草を取りに行ったのではなかったのか?」
「取りにいったわよ!で、でもッ・・・!」
「でも・・・?」
僕は聞き返した。
「薬草を摘んでお堂に戻ったら、木南もおじいちゃんもいなくなっちゃってたの!!」
「な、なんだって・・・?!」
「シッ!・・・伏せろ・・・」
雪華が外の気配を察知したらしく、僕らに屈むように命じた。ジッと黙っていると、神社の横のほうから洗脳されたであろう村人が、大名行列をなして僕らを探していた。
僕らは息を殺し、通過するのを待つ。少しでも動いたらバレる。ジッと、耐える。
「・・・途切れる気配がないわ・・・」
雪華が苦悶の表情で様子を見ている。洗脳された人々は、減るどころか徐々に増えているように感じる。


