しかしまだ頭の痛みはひかない。ガンガンする。
僕は意識せずに頭を抑えた。
「あら、神門くんてば、頭痛いの?」
「二日酔いってやつです」
「あらあら、昨日はたくさんのお酒を飲んだのね」
「ははは・・・ま、まぁね」
恐る恐る雪華を見る。呆れた表情をしていた。
「もしかして雪華、言うつもり?」
「何をだ?お前が酒が飲めn「ストオップ!!」
慌てて僕は雪華の言葉の静止を求めた。あ、あまりアズ姐には知られたくない・・・!
「か、帰ろう雪華!お金はここに置いてくね!じゃあねアズ姐!!」
「あ、ばいばい」
僕は雪華を引きずるようにして甘深楽を後にする。
「さっさと襟を離せこのバカ」
雪華に暴言を吐かれ、やっと僕は雪華の拘束を解いた。雪華は明らかに怒り心頭の顔だった。
「お願い雪華、僕が下戸ってことは内緒に~~!!」
「知るか。私は真実を言う。それだけだ・・・・・・ッ。・・・おい、神門。少し耳を澄ませ」
雪華は人差し指を口に当てる。
「何言ってんの雪華ぁぁ!もう、アズ姐にバラされたら、僕はッ・・・もうっ!」
「黙れと言っているだろう!」
「○×☠☆*#$●◎※!!!!!!!!!!!!」
ボガッと雪華に頭をグーで殴られる。僕は悶絶し、話すどころではなくなった。
頭を抑え、涙目になりながら顔をあげる。そこには・・・
「また影か・・・」
ゆらゆらと揺らめく影。その数は五十はいっている。
「江戸にこんなに影っているの?!」
「私もちょっと前に五十ほど斬り倒したが、まだ残党がいたのか・・・」
雪華は脇差―氷刀―を抜き、手の上で一回転して持った。ちょっとかっこいいと思ったのは僕だけだろうか。
江戸の町には人の姿はなく、影と僕らふたりだけだ。
僕も慌てて炎刀を抜く。そして構えた。


