大江戸妖怪物語



雪華VS眸のバトルロワイヤルから3日が過ぎた。
あれから二人が鉢合わせしないかヒヤヒヤしていたが、街中で会わずに済んだ。
甘深楽にも立ち寄ったが、そこまでの道中にも眸はいなかった。


夕焼けが西の空に沈み始めた。僕は庭で刀の訓練をしていた。

「ていッ!やァッ!はァッ!!」

相変わらず僕は椿の葉に苦戦を強いられていた。どうしても綺麗に斬ることができない。
この練習をずっとしているが、・・・できる気がしない。

「声だけは一人前だな」

そう言いながら、雪華が縁側に腰掛ける。ニヤニヤした顔が僕の心に響く。

「ぐすん・・・。やめて雪華。心挫ける」

本当に泣きそうになってくる。
夕日がボヤける・・・。

「まったく・・・。お前というやつは・・・」

雪華は縁側からスッと立ち上がり僕の後ろに回る。
そして後ろからいきなり抱きついてきた。

「す・・・雪華?!?!」

「刀を握れ。私が一緒に刀の鍛錬をしよう」

雪華が僕に・・・抱きついてくるとか・・・!いや、しかし!これは訓練!訓練のうち!

気にとめるな!気持ちを無にしろ!ていうか、なんか胸が痛む・・・。

「肩に力が入ってるぞー。力抜けー」

「え、いや・・・・」

僕の肩をポンポンしてくる雪華。

「力抜いたままで・・・。はいッ」

僕の腕が雪華によって持ち上げられる。

雪華が葉を投げ、その葉めがけて刀は振り下ろされる。


スパッ―――


ヒラリヒラリと落下した物体は半月の形をした二つ。綺麗に二等分された葉は地面に落下した。

「では、もう一片いくか」

もう一枚の葉を雪華は高く上に放り投げた。

「・・・?!」

葉が止まっている。いや、そう見えているだけなのだろう。

僕はその葉に向かって刀を振り下ろす。

その葉も二等分になった。