大江戸妖怪物語






「うわあああああ!!」

僕は布団から飛び起きる。



「夢か・・・?」





身体は汗でびしょびしょに濡れていて、汗が冷えて寒い。しかし、あまりにもリアルな夢だった。

僕の横には太刀が置いてある。
汗で体が冷え、一階へと降りる。居間には雪華がいた。もちろんいつも通りに。

「雪華、今日の夜僕の寝込み襲った?」

「誰がそんな趣味の悪いことするか。気持ち悪い。反吐が出る」

「気持ち悪いとか言わないでよ!ガラスのハート割れるからね!」

「なにがガラスのハートだ。お前にはハートどころかプライドも持ってないだろ。持ってない奴に言われても、説得力が無いな」

「持ってますけど!プライド有りますけど!」

「昨日すごい呻き声あげて寝てたぞ。不気味な悪夢でも見たのか?」

「呻き声あげてるんだったら起こしてくれよ」

「嫌よ。つまらない」

「最低!」

僕は女子が言うようなセリフを投げつける。これでは確かにプライドなんて微塵もない。


「朝ご飯食べ終わったら訓練でもするか。私はもう済んだから、神門は終わったら蔵の前へ」

雪華はそういうと蔵の方へ向かった。


僕は味噌汁を一口飲み、ため息をつく。外に見える景色は喧噪活気あふれる江戸の都。
僕は江戸を見据え、味噌汁を一気に流し込んだ。

そして僕は蔵に向かった。

雪華は刀を構えていて準備万端である。

「神門、お前の雄心を鍛えようぞ!」

「おっし!頑張るぞ!」

「痴めるお前が消えますように」

「軽く馬鹿にしたね」

僕は太刀を抜いた。

「いざ、参る!」

雪華は一瞬で僕の目の前に移動した。まるで瞬間移動だ。僕は慌てて回避する。雪華の刀からは粉塵のような氷が棚引く。僕は雪華から距離を取ろうと3メートルほど後ろに跳んだ。

しかし雪華はそれを見切ったかのように僕の隙を突く。鳩尾の部分を拳で突かれる。

「ぐッ・・・」

僕の顔と声は苦痛を現す。

「敵に対して無理に距離を取ろうとするな。接近戦で戦え」

雪華はそんな僕を見て声を荒げた。僕は見返してやろうと雪華の後ろへ回り込んだ。そんな僕を雪華は側目に掛く。
背中から突こうとした僕を見切り、高く跳んだ雪華。後方宙返りして、僕の後ろに着地する。

「・・・ッ!」

僕の首には雪華の脇差の刃。勝負がついた。

「勝負あり・・・と」

雪華は冷静に呟く。

僕はヘナヘナと座り込んだ。