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「・・・っはぁ、ギリギリセーフ!売り物の刀セーフ♪」
「愉快な奴」
雪華は卓袱台に肘を立てて僕に呆れた顔をした。
「あら、神門。いたの。ちょうどよかったわ、お風呂汲んでくれる?今手が離せなくて・・・」
母さん、帰ってたのか。
僕は風呂場に向かい、風呂釜に水を入れた。
下に薪を入れる。
(炎よ、出でよ)
そう念じ、僕は掌に炎を出した。それを薪に点火する。
「ってか・・・」
僕は溜息をついた。
「この能力って、家事する為の力になっとるやーん!」
そう、妖怪と戦わないとき、この能力は家事にしか使えない。
(まじ・・・この能力の意味あるのかよ・・・)
風呂を汲み、部屋に戻る。雪華は頬杖をつきながら何か考えているようだった。
僕の気配に気付き、視線をこちらに向ける。
「・・・何」
「・・・風呂汲んだけど、入る?」
雪華は数秒考えてちょっと息をフゥッと吐いた。
「後で入るわ」
「じゃあお母さん入ってくるわねー!今日は新しい入浴剤よー!」
高笑いをしながら母さんは風呂場へと向かった。
雪華はまだ考え事をしている。
「小豆さんは・・・何歳かしら?」
雪華の口から出た言葉は、アズ姐に対しての言葉だった。
そうか、雪華もあの美しさに惹かれて・・・。アズ姐を目標の美しさにするなんて・・・。可愛いところあるじゃないか!!
「さあ?やっぱりレディーに年齢を聞くのはねぇ・・・」
「お前など男として見ていないだろう。年齢を聞いたところで何の問題もない」
「なにそれ?!一応僕だって男だからね!羊の顔した狼だからね?!」
「自分で狼とか言うな。情けなくて見ていられなくなる」
「んなぁッ・・・?!」
「はいはい、哀れ哀れ。というか、お前、長い付き合いみたいなのに年齢の一つも知らないのか?」
「多分・・・27くらいじゃない?」


