「あの厄除けも効果が薄れたって事か…昨日出掛けたからか?
まあいい。安心しろ、もう大丈夫だ」
「…でよ」
「何?」
「傷増やさないでよっ!手当てする方が大変なんだから」

ゴキブリ如きでこんなにムキになった挙句、また怪我をして。
これ以上私を哀しませないでほしいと思った。
でも、ゴキブリ如きで肩にあんな傷は出来ない。

「オウヤ君、さっきのって手下とか言うの?」
「今更気付いたのか」

“ゴキブリがいたって言うからでしょ”とまでは言い返せなかった。
哀しいのとか、今日が過ぎた後の事とかで頭がいっぱいだったから。