血液型が分からずに困った、と。
結局A型に近かったらしいから、A型の血を輸血したらしい。
一体、彼は何者なのだろうか?目が覚めるまで付き添う事にした。
これで帰ってもすっきりはしないと思う。
家にも公衆電話を使って遅くなるかもしれないと告げた。

ベッドの上の彼は、顔色も私が見つけた時よりも
幾分か良くなっている気がした。
包帯だらけで点滴をされているの姿がとても痛々しかったけれど、
これで死んでしまう心配がないならどうでも良かった。

あとは早く彼が目を覚ませば良い…けど。
何時目覚めるのだろうか?
早く目が覚めると良いな、と思って手を握ってみた。
よくある漫画では手を握って、
何か言葉をかけてあげると目を覚ます事がある。
私も何か声をかけようかと考えたのだけど、言葉が思いつかない。
彼の事を何も知らないから。
下手に“元気になって好きなスポーツをやろう”とかは言う事は出来ない。
こう言うとき、何故私は彼の知り合いじゃなかったのかなー…と感じてしまう。
何だか悔しくて。
とりあえずは早く目を覚まして欲しいと祈り続ける事しか出来なかった。