墜ちた羽根

部屋に戻りオウヤ君はベッドに、私は床に座った。
“体が辛ければ横になっても良いよ”と言ったけれど
彼は“平気だから話せ”と言った。
本当に大丈夫なのかな、と思いつつも話を切り出した。

「一体何者?」

何を聞いているんだろうと思った。言葉を間違えている。
私はオウヤ君の事をもっと知りたいのであって、
そんな事を聞きたい訳じゃない。
人の記憶消したり診療所抜け出して、
私よりも早く此処に来たのは常人では無理な話。
でもやっぱりいきなり何者、は流石にないだろう。

「お前には俺がどう見える?」

逆にそう聞かれた。
怒る事もせず、珍しく微笑んでいる。それが余計に怖かった。
一呼吸置いて、私はこう答えた。

「只の人間…と言うより、超人」

言った後に気付いた。最後の言葉は余計だと。
只の人間なのにそんな言葉失礼じゃないか。
慌てて最後の言葉は忘れて、と言おうとしたその時だった。