墜ちた羽根

そうすればこんなに緊迫した空気の中にいないで済むし、
桜也君はゆっくり怪我を治せるし、
のんびりと時間をかけて大好きな散歩も出来る。
まだ陽は高い。だけどもう少しで陽が沈む時間が始まる。
それまでの間、私は夏休みの宿題の見直しをした。

それをしながら、トイレとか少し席を外す以外はオウヤ君が起きるのを待っていた。
だけど昨日眠れなかったのか、それとも今日、
私を沢山探させてしまって疲れが溜まってしまったのか、
オウヤ君が起きる気配は死んだんじゃないかと思う程に、全くなかった。


「早く起きないかなぁ…」

オウヤ君の事をもっと聞きたいから。そうしていたら、
診療所に電話をしなければ行けない事を思い出し電話をしに行った。
お兄ちゃん達に安心していたけれど、
本当に消えているのか少しだけモヤモヤしていた。
だけど、電話をしたら本当に記憶を消していたようでかなり吃驚した。

部屋に戻った直後、私も眠くなってしまい眠ってしまった。
彼が先に起きなければ良い。
そうすれば私のみっともないこの寝顔が見られずに済むから。