墜ちた羽根

隠れた場所はとてもひんやりしていて、この暑さには丁度良かった。
沢山走った所為で息が上がる。
体育の授業でもないのにこんなに走ったのは珍しい。
疲れで眠ってしまいそうなのを堪えながら、彼らがいなくなるのを待った。

「お姉ちゃん?近くにいるのは分かっているよ?」
「モモ、もう此処にはいないんじゃない?」

モモという名の女の子はとても勘が鋭いと思った。
大抵の人間は見失って別の所を探すから。
一方のアオ、という名前の方の子が諦めようとしている。
モモちゃんがアオ君を叱りつけている声が聞こえた。
アオ君よりもモモちゃんの方がお姉さんなのかな?と考えてしまった。

「モモー…もしかしたらさ、
諦めたと思って僕達が引き下がるフリをすれば出てくるんじゃない?」